昨日はゲストに門脇耕三さんを迎え、愛知淑徳大三年生の後期課題最終講評会でした。
淑徳三年の後期課題は、前年までの数年間大きい複合施設課題と原寸を作るミニ課題を組み合わせて半期1.5課題の構成でしたが、やはり中だるみ感がありということで、今年は試験的に大課題2課題に変更されました。しかも今年は図らずも受講人数が例年の4倍というパンデミックが(笑)。エスキスも必然的にテンポよく回す形になり、一人一人の学生とじっくり…という時間がなかなか取れない中で、半期があっという間に終わっていくことになりました。
例年ののんびりした雰囲気と打って変わって、みんな人並みの課題地獄を味わったのではないかと思います。
門脇さんの講評は、なんかイイネ的なふんわりしたものも即座に構造化しロジカルな文脈にきちんと乗せて作品を評していく姿勢。学生の課題内容とレベルに合わせて都度的確な語彙を繰り出すところはさすがでした。
2課題ということもあり、最後のプレゼンのリファインがイマイチという評もありましたが、人数が多いこともあって、妙に形態が先行する例年の淑徳大の傾向が弱まり、テーマ性やプログラム、環境など設計の方向性が多岐に展開したことはとても良かったのではないかと思います。
終わってみて思うこと…このくらいのスピード感が個人的には馴染むなぁと思う一方で、前年までの緩いペースは相当数誰でも付いて来れる良さもあったなと。大人数×課題負荷高だと学生間の偏差がハッキリ開くのがわかります。できる学生は目に見えて力がつく一方で、全く付いて来られない学生も一定数出てしまいました。
そこで、高負荷の課題設定に典型的なマスプロという自分の学んで来た環境を思い出して、そういうことだったんだな…と思ったわけです。設計実習の授業において、できる層とやる気すらない層がはっきりと分かれていくのは必然と思っていましたが、それはむしろ大人数一絡げにして高負荷の課題をガンガン与える授業形態の結果であり、設計そのものを学ぶ工程における必然というわけではない、逆に言えば授業自体の組み方でだいぶ解決できる部分もあったのだろうと。
短期間で高負荷かけて、というやり方はかつて建設業界が成長産業だった時代における短期での人材育成の意味が大きいのだろうと思います。でも今は建築設計が活かせる場は多様になっているし、競争ベースでなくゆっくり時間をかけて誰でもできるように建築設計を学べる場があってもいいのかもしれないな、と思ったりしました。
ただ、高負荷の課題をスピード感もってやると、できる学生は本当に伸びるし、それは見ていて本当に楽しいです。そしてその局面においてはスピードがかなり大切なんですよね。。
写真は学生の作品です。