あいちトリエンナーレ#1「旅館アポリア」ホー・ツーニェン
喜楽亭は、建築は、実はすべてを記憶している。
この地響きは戦争に巻き込まれた人々の、腹から突き上げる慟哭なのだと思います。
会期折り返しちゃいましたが、印象に残ったものを順次あげていきたいと思います。
ホー・ツーニェン 「旅館アポリア」
@喜楽亭
小津映画をモチーフにした映像から始まる一連の映像作品。一作品12分計7作品、全部じっくり見ると1時間半くらいかかります。皆同じこと言ってますが、時間とって全部見るべき作品です。
テーマを一言で説明するのは難しい。特攻隊のエピソードを通して戦争の不条理が表される場面があります。が、それは伏線で、戦時の文化人がどのように振る舞ったのか、そして彼らが戦後どのように自らを扱ったのか、がもっと大きなストーリーです。しかしそれも伏線で、核心は中盤の「虚無」、それは喜楽邸の建築そのものと繋がっている。
それでも立ち続ける建築の業の深さ、ひいては、それでも回り続ける歴史の非情さ…
作品は小津映画と横山隆一の漫画のモチーフで始まるのですが、そもそもなぜ小津と横山なのかは二階の作品で伏線回収されます。
テーマ、映像そのものもいいですが、何より唸ったのが、映像作品の配置、そして建築と響きあう音響です。マジすごいです。