これはフランプトンが、近代建築におけるラスボス=空間に挑む書なのです。
- 批判的地域主義からのテクトニックカルチャー
- 後衛であること
- 空間=近代建築のラスボス
- ゼンパーの建築論と空間の台頭
- テクノロジーをめぐる諸問題
- 調停者としての建築家
批判的地域主義からのテクトニックカルチャー
テクトニックカルチャーは83年のフランプトンによる論考「批判的地域主義に向けて」を並行して読むと、その構造がかなりくっきり見えてきます。
大きな歴史的論点は批判的〜と共有したまま、具体的に建築を読み解くテクトニクスという視点を手にいれた、ということになるでしょう。
「批判的〜」は短い論考なので合わせて読むと良いと思います。
「批判的地域主義に向けて」には、抵抗の建築に関する6つの考察、という副題がついています。批判、抵抗…血がたぎってますね(笑)。
批判的地域主義は、テクトニックカルチャーのちょっと前に書かれた「現代建築史」でも独立項目で扱われています。(邦訳版はテクトニックカルチャーの方が先に出たが、原作は現代建築史の方が3年ほど早い)。
一連の著作を読むと、フランプトンにとっての大きな主題が見えてきます。
即ち、アバンギャルドあるいは近代自体の不可能性が明らかになった現代において、それでも建築が批判的実践でありつづけるための可能性を探る、ということです。
テクトニックカルチャーには、批判的/地域主義/抵抗の建築、などのワードは出てきませんが、一見話題が飛び飛びになっているように思える序章の後半は、実は大きく旋回してこれらの伏線回収をしていたということがわかるのです。
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