川沿いの旗竿地に立つ家。中庭のある平屋/閉じつつ開く作法の試み。
中庭を囲む平屋の住宅です。コートハウス(中庭型住宅)というのは、周辺環境を中庭というバッファ領域に置き換えてプロセスした上で取り込む作り方ですが、それ以外の環境を捨象せざるを得ないという難しさもあります。外部の公空間から最もプライベートな空間までいくつか存在する階層の中、どの階層で閉じるかということが住宅のあり方を大きく左右します。
敷地は川沿いにあり眺望にも恵まれた場所でした。この環境に上手く開きつつバッファとしての中庭も生かす、そうした閉じつつ開く方法を試みています。
ここでは中庭を唯一の外部空間と捉えるのでなくどちらかといえば内部に属する空間と捉え、リビング、寝室の大きな空間の並びの間に据えています。
また閉じつつ開く作法の一つとして、空間構成には屋根を積極的に用いています。平屋部分は薄い勾配屋根をいくつか組み合わせ、環境の入りこむ隙間をつくっています。屋根の隙間から光や風が入り込み、内部空間に変化をもたらしています。
折り重なる勾配屋根からは、川見小屋=ロフトが飛び出す構成です。この「小屋」には川を眺める机を作りつけ、ピクチャーウィンドウを設けています。
小屋は通りからのアイキャッチにもなっており、積極的な外観をもたないつくりの住宅の中にあって、通りに対しての構えであり風景を直に享受するコンタクトポイントでもある、という二重の意味を持たせています。
作品名:川見小屋のある家
主要用途:住宅
構造設計:モヴ構造設計
設計期間:2021.4〜2022.1
工事期間:2022.2〜2022.7
竣工年:2022.7月
所在地:愛知県
構造:木造
規模:地上2階/約90㎡
施工:丸長ホーム
写真撮影:Takaki&Minami Watanabe