住宅街の小さなベーカリー。
Studio Velocity作品 「大門の母屋と新屋」の一部をショップと業務用厨房に改修しました。
既存建物の作品性に敬意を示して、ショップは住宅ではないスケールでつくること、をテーマにしています。具体的には、住宅スケールよりも大きな前面の木戸/住宅スケールよりも小さいショップの構え、の組み合わせで計画しています。
住宅街にあることを踏まえて、シャッターの代わりに大きな木戸を用い、閉店時には店の存在を感じさせない閉じた箱になり、開店時には開いた木戸が衝立となって店構えの背景となります。これは同時に隣家に対する配慮にもなっています。
店舗は屋台のスケールに倣い、材を細く、空間の寸法も0.7〜0.8掛けで捉えています。
建具を工夫して開き方を何段階かで調節できるようになっており、夏場冬場のエアコン稼働時期は閉じて、気候の良い季節は開いて、イベント時などは全開で実際に屋台のような雰囲気で営業できるようにしています。
新居建設時に母屋を減築してテラスとなった部分に今回増築した業務用厨房の建築には、これは施工余地のない状況下、積んだ時点で内外仕上げが完了する工法としての利便性を採用して、コンクリートブロックを使っています。結果的に屋外だった元々の雰囲気を継承する野性的な構えとなりました。
PJ名:YE BAKERS
種別:改修、増築
主要用途:店舗兼住宅
構造設計:藤尾篤
設計期間:2021.11〜2022.2
工事期間:2022.3〜2022.5
竣工年:2022.5月
所在地:愛知県
構造:木造
施工:株式会社 箱屋